《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜
「頭を上げて下さい。」

母親の冷たい声にゆっくり頭を上げる。

顔を上げた英美は母親の瞳を見つめた。

冷たい視線が英美を突き刺す。



「俺はこいつと結婚する。」



沈黙を破ったのは弘樹だった。



だが、また沈黙が続く。

険しい顔の父親。

眉間に皺を寄せた母親。

真剣な顔の弘樹。

俯いたままの英美。

誰も話そうとせず時計の針だけが進んでいく…



「わかった。」

そう言ったのは父親だった。

この時、初めて口を開いた父親。

どすの効いた低い声で一言、呟いた。
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