どんなに叶わない恋でも


あたしはいま。

西中の門の前にいる。

「あんた。あたしを背負ってこの門を入る気?」

「当然。」

な、なんだこいつ。

当然あたし達のことを何事かと西中のみんなさんが見ている

そりゃそーだ。

西中の制服はブラウスには赤い紐リボン。東中
はセーラー服。しかも東中のあたしが西中の男に……

こんな格好、まじで恥ずかしい。

そして西中の校舎に入ったあたし。いや、無理矢理入ったというべきだね。

「はぁー。なんとか間に合ったー。」

「あたしは大大遅刻だけどね。」

ん?ここって職員室だよね?

いくら西中でもあたしにだってわかる。

コンコン

「失礼します。」

ガラガラ

「神木!なんで東中の子を持っているんだ?早く降ろしなさい。」

先生一同唖然。

こいつ、神木っていうのか。

「その前にハサミを借りたいんですけど。」


え?ハサミ?


もしかして

「あんた。もしかしてあたしの髪を切る気?」

「それがどーした。」

平然と神木は言いやがった。

「ふざんな!なんでよりによって今日なんだよ!今日は…」

今日は

あたしの憧れの一ノ瀬先輩と久しぶりに会う約束をしていたのだ。

一ノ瀬先輩とはあたしが中学1年の頃、中学3年だった。あたしの二人目の兄、海斗と仲が良く家によく来ていたのだ。

恋までとはいかないが本当にあたしの憧れの人なんだ。

今日は2年振りに合う約束していたのに……。

「今日は、なんだよ。」

「え?あー。なんでもねーよ。」

すこしボーとしてた。

「ま、そういう訳だから。」

チョキ!

あたしの髪の毛は床に落ちた。

え?

本当に本当に


切ったの?



「ぎゃーーーーー!!!!」

あたしの悲鳴が職員室中に響き渡った。




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