星屑のバラード
「ハナは夢とかある?」

「夢ですか?」

「歌手になりたいとか」

「いえ、まだそこまで考えてないです」

「でも歌うことは大好きなことだから、これからもずっと歌っていたいです」

「みんなの心に届けたい」



翔は穏やかに笑って話を聞いてくれてる

「ハナは本当に歌が大好きなんだな」

「俺、何回か駅前でハナの歌う歌を聴いたことあるんだ」

「なんか歌というものに本気で向き合っていて、伝えよう伝えようとしてるなって感じてたんだよ」

「でもあったかい歌声の中に寂しいハナが見え隠れしてた」

「必死で生きていようとするハナかな」

「ひとりで重たいリュックを背負って、高い高い山を登ってるそんなイメージ」

「仕事柄というかこれは元々ある特技なんだけど、人の顔、目を見るとその人の性格や考えがわかってしまう」

「すごい、それってカウンセラーの仕事に役立ちそう」

「お陰様でものすごく役に立ってる」

「でも知らなくていいことまで知っちゃうのはちょっとな…」

「でもこうやってハナと一緒にいれるのも、この特技のお陰だからな」

「そうなんですか?」

「ハナがどんな子か何ヶ月も前からなんとなく感じ取っていたからな」




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