冷たい彼は旦那さま
「アメリカに行くんだろ?」
詰まらせていた言葉を、翼さんが言った。
「………はい」
「そうして貰えると俺も気楽にサツキに気持を伝えられる」
嬉しそうに、翼さんが笑った。
「……お母さん達には私から言っておきますね」
今の私には、笑えって言われてもきっと笑えない。
だけど、泣けって言われたら何日も笑えるんだろうな。
どうしてこうなったんだろう。
もうこの距離が戻ることは、きっとない。