冷たい彼は旦那さま
通る人が何事かと見ている。
だけど、気にしない。気にしてる暇なんてない。
俺の思考は全部遥で埋まってるからだ。
「はるーー…」
「翼さんっ……?何で……」
振り向くと求めていた人がいる。
泣きそうに、信じられないというように。
遥、今度はもう手放せないかも知れないから、逃げないで大人しく傍に居ればいい。
もう、無理だから。
俺は素早く遥の手を取り、自分の方へと抱き寄せた。
「好きだ。遥。……俺と、結婚しよう」
「……はいっ」
弱々しく抱きつく遥はやっぱり泣いていた。