冷たい彼は旦那さま


ビクッと体が揺れる。


ツーっと額に汗が流れた。


「可笑しいわよね。私よりあなたを優先するなんて」


サツキさんとの間にあった距離が無くなった。


クイッと指先で私の顎を持ち上げる。


いつまでも笑っているサツキさんの顔がすぐ目の前にある。


「……私ね、遥ちゃんの事がと――っても嫌いなの!!!」


そう、サツキさんが叫んだと思えば、手を振りあげる。


――バチーンッ。


その手は真っ先に私の頬へと目掛けて振り落とされた。

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