冷たい彼は旦那さま
一瞬の出来事で、自分がビンタされただなんて気付けなかった。
後からジワジワと来るほほの痛み。
「その子達もあなたが嫌いなのよ?何でか分かる?わからないわよね?あなたが幼馴染みを独占してるからよ」
私が……大地を?
「みんなが欲しいものをあなたが独占するから!何でも手に入れるから!」
どんどん声が大きくなるサツキさんに、いつもの大人っぽさは感じられない。
「……ねぇ、この髪邪魔じゃない?」
そっとサツキさんが私の髪へと触れる。
「やだっ……。触らないでっ!」
私一人がどう足掻いても、数人の女子になんて勝てるわけない。
「私が、切ってあげる」