冷たい彼は旦那さま


強引に大地を振り切り、学校を出た。


…ホントは少し心細いけど。


街も少し寒くなって夏の暑さなんてもの無くなってた。


「あーあ、隣に翼さんがいればあったかいのに」


なーんて冗談ぽく言った時だった。


「あら、遥ちゃん」


ビクッとなった。


聞きたくない声。会いたくない人。


「サツキ、さん」


ニコニコ笑っているサツキさん。


「髪の毛、いい具合になったわね」


「………」


まるで自分が切ったかのようないいぶり。


いや、サツキさんが切ったんだった。


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