双子姉妹の胸キュン恋愛道!
「遅くなってごめんね。」
少し息を切らしながら、元樹は笑顔で頭を下げた。
「最後なのに呼び出してごめんね。」
初音も同じように頭を下げる。
その横で琴音は何も言わず元樹を見つめている。
元樹はゆっくりと2人に近づくと、もう一度頭を下げた。
「今日で転校するけど、初音ちゃん、琴音さんのお陰で楽しい学校生活を送る事が出来た。本当にありがとう。」
「元樹君…。」
爽やかに頭を下げられると、何だか本心を聞きずらい。
自分の気持ちを伝えるのが怖い。
自分の気持ちを伝えて、振られるよりも…。
このまま、何も言わず綺麗に終わった方がいいのかもしれない。
「こ、こちらこそ、あ、ありがとう…。」
土壇場で臆病な気持ちが表れた初音は、少し肩を震わせながらぎこちなく感謝の言葉を返した。
初音の気持ちを横で察知した琴音が元樹に向かって話しかけた。
「ねぇ、元樹君。聞きたい事があるのだけど。」
「琴音!」
元樹が答える前に、初音が少し驚いた顔で琴音を見つめる。