双子姉妹の胸キュン恋愛道!
初音は今日も元樹と朝から水やりをしていた。
「今日もいい天気だね。」
元樹がいつものようにニコニコ微笑む。
植物園デートに行ってから進展はなかったが、毎朝一緒に水やりをしていた。
その甲斐もあって、ようやく初音は元樹の前で動揺する事がなくなっていた。
「ん?」
初音が何気なく校門の外を見ると、大きな黒いリムジンがゆっくりと近づいて、そして停まった。
元樹も水やりを止め、じっと見ている。
運転手が手際よく後部座席の扉を開けると、中から真っ赤なドレスを着て、羽根が付いたエレガントな帽子を被った貴婦人のような女性が出てきた。
その女性は自分の前後にスーツを着たお供を連れて、赤い羽根で出来た扇子を優雅に仰ぎながら校庭を横切り真っ直ぐ校舎へと向かっていく。
「学校関係者かな?」
「でも凄く若く見えるね。」
「赤い羽根の共同募金の人かな?」
「それくらい赤い羽根だらけだね。」
2人でヒソヒソ話し合う。
まるで大名行列のような光景に、他の生徒達もただ茫然と眺めている。
そんな周りを気にせず、歩いて行く共同募金の女性。
しかし、その女性は校庭の真ん中まで進むと、何か気になったのか、ふと花壇に目を向けてきた。
そして一旦立ち止まると、傍にいた男性に耳打ちして、花壇に向かって再び歩き始めた。