(仮)
出逢い、ハジマリ



ザアァァ……

激しい雨の音がする。

私の背中を大粒の雨が打ち付け、身体が冷える。


なんで私は…こんなところに…。
何故か何も思い出せない。
思い出そうと頭を回転させる気力もない。

身体が……動かない。

なんだかよくわからないけど、私、死ぬんだろうな。


『…ごめんなさい……ごめんなさい…』


……?
今何か声が…頭に…


『あなたに辛い思いをさせて……ごめんなさい……』


なに…?なんなの…?


『でもお願い、助けて…』


その言葉を最後に、謎の声は消えた。

随分力がなく、振り絞ったような弱々しい声だった。
でも美しい声。


…なんだったんだろう、今の……。


ぼんやりとそんな事を考えていると、砂利道を踏み歩く足音が耳に入った。


…誰?
誰か来たの…?


頑張って瞼を持ち上げようとするが力は入らず、結局そこで私は意識を手放した。










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