(仮)
脱衣所のクローゼットの中にかけてあった自分の服(おそらく)に着替え、脱衣所を出ると、部屋中美味しそうな匂いで満たされていた。
「出たか。どうだ?うまそうだろ?飲み物持ってくから座って待ってろ」
男に言われた通りにテーブルに歩み寄ると、…なんだ……この豪華な食事は…。
テーブルの上に並ぶ豪華な料理の数々に、開いた口が塞がらず立ち尽くしてしまった。
「なーに突っ立ってんだ?立ち食いでもすんのか?」
笑いながらコトン、とマグカップを二つテーブルに置く。
「ほら座れ」
椅子を引かれ、ハッとして腰を下ろす。
「おいおい驚きすぎだろ」
男は可笑しそうに私を見て笑う。
だ…だって…
「す、すごいんだもん…。こんなご馳走…」
初めて…?
「すげぇだろ?テーブルに乗る限り腕によりかけて作ったんだ、うめぇぞ!さぁ食おうぜ」
男に促され、どれに手を付けようか迷いながらも恐る恐る料理を口に運ぶ。
「…お…おいしい…!」
本当においしい…!!
「プッ。昨日とおんなじじゃねーか!」
男はまた楽しそうに私を見て笑う。
「また泣くなよー?」
「なっ…!な、泣かないもん!」
昨日の自分を思い出すと泣いてばっかりで恥ずかしくなり、耳まで赤くなってしまった。
その恥ずかしさを紛らわすように、勢いに任せ手当たり次第豪華な品々に手を付けた。
うーん…
どれもこれも全部すっごくおいしい…!!
私は幸せな気分に浸りながらひたすら食べた。
男が微笑みながら私を眺めていることにも気づかないぐらいに。