(仮)
接近
チチチチ……
…ん……
鳥の囀り……?
なんか眩しい…
それに、いいにおいが鼻を擽る。
窓から射し込む光と鳥の囀りで目覚め、ゆっくりと上体を起こす。
物音のするキッチンの方を向くと、男が何やら料理をしているようだった。
ボーッとその背中を眺めていると、男は皿を持ちこちらを振り返った。
「よう、起きてたのか。調子はどうだ?」
テーブルに皿を置き、こちらに歩み寄る。
「あ…うん。大丈夫…」
「そうか。そりゃ良かった。今飯作ってっからシャワーでも浴びて来いよ。シャワールームはあそこな」
シャワー…
「お前が最初着てた服ももう乾いてると思うから、上がったらそれ着ろよ」
……。
「…私が最初、着てた服…?」
「ああ、お前ビッショビショだったからな。俺が着替えさせたんだよ。俺の服だがな」
そう言われてみれば、今私が着てるのはブカブカの男物のシャツだ。
……待ってよ……
ってことは……
「……裸…」
「ん?ああ、見たぜ」
何ともない顔でサラッと…
見たって…
うそ!!
一気に顔に熱が集中するのを感じた。
「な…え…」
「仕方ねぇだろ?ビショビショのまま寝かせるわけにもいかねえし。 …にしてもお前」
男は私の身体をジッと見て一言。
「もっと太った方がいいな」
……な…。
なんだとぉ……!!
「ばッ…ばか!!」
私は顔を真っ赤にして叫ぶと、シャワールームに駆け込み強く扉を閉めた。
男の楽しそうな笑い声を耳にしながら。