塩素と君。
千鳥足でホールに向かう。
最悪。


「今日なにするの。」

「部紹介、だろ。」

くそまじめの吹雪は忘れていなかった。
買ったばかりの上履きが光る。

ステンドガラスから光が差し込む。
母校がちらりと見えて、懐かしく思う。


ホールにつき、人の合間を縫って行く。

「通して通して。」

―遅刻したの。

「それ以外なにがありますか。」

―ごめんごめん。

そんな会話を繰り返し、自分のところに着く。
バレなかっ――…。


背後で、ドサァっという音がする。
何か打ちつけたような音だ。

「遅刻した奴はあんただけか。」

背筋が凍るのを感じた。
やばいぞ。

穴があったら入って逃げたい。切実に。

「わ…。私も一応遅刻しました…すいません…。」

震えた声で言う。
内申点が~とかわけわかんないことを思いながら、
列を外れる。

「放課後に生徒指導な。」

最悪。

楽しみにしていた高校生活。
まさか、生徒指導を受ける事になるとは。

散々、だ。
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