塩素と君。
ここも逃そうと思っていた。エレクトーン以外興味がないから。
小さいころからエレクトーンに打ち込んでいた。エレクトーンばかりで、
周りを見ていなかった。
エレクトーンは受講費や新調など、何かとおかねがかかる。
ピアノみたいに、中途半端にできない。

ピアノをけなしてるわけじゃないんだけど、
ピアノをやった子は、次から次へと辞めていった。

「珠卵花ちゃんってよく続くよね。」

といわれたけど、嬉しくなかった。
私はあんたらとは打ち込み具合が違う。
どうりで、ピアノ受講者とは仲良くなれなかった。というか
仲良くならなかった。

壇上に目をやると、エレクトーン部の紹介が始まった。

「エレクトーンは、部活として有るのはすごく少ないです。 
 私たちは、エリーゼのためにを目標に頑張っています。」

珠卵花は凍りついた。
あり得ない。エリーゼのためにを目標にって…。

あり得ないあり得ない。
だって、エリーゼのためになんて、弾けるんだもん。

< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop