塩素と君。
マイクを手にとり、しゃべり始めた部長は、
水泳部の記録や、基礎練習の事などをしゃべりだした。
話を聞いていると、なんだか楽しそうに思えた。
だけど、家族から友達、やめたエレクトーン教室の先生にでさえも、

「高校ではエレクトーンと言ったら風切というまでに
 有名になってみせます。」

と言ってしまった。
言った手前、エレクトーン部か…。
揺らいでしまう。

「他の部活では味わえないものがここにはあります。
 ですが、本当に基礎練習で折れる人が多いのです。
 じっくり決めてから入部してください。」

みんな、紹介が終わったと思い、拍手が起こる。
まだしゃべりきってなかったのか、拍手がやむまでまった部長は
最後にこう言った。

 「人間の原点に帰りたい人、水泳部で待ってます。」

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