フレッシュ
偽りの友達。




小池桃子。緑川高校2年3組。


成績は良くも悪くもない。

いつもは一緒にテニス部に入部した友達五人のグループで行動している。

そんなごくごく普通な女子高生。

休み時間も昼食時間も、他愛のない話で盛り上がれる友達がいるだけで私は幸せだと思う。


今日のお昼だっていつものように誰かの机の周りに集まって、お弁当のおかずをつまみ合ったりしながら時を過ごす。


「そういやさ、あたし最近睫エクしたいなーなんて思ってんのよ。」

そう言い、パンをかじりながら髪の毛をいじくってたりするのは、五人の中でもクラスでも目立つ存在で中心人物の里美。

お昼ご飯の時や休み時間なんかも大抵は里美の座席周辺に集まって、里美が中心になりながら雑談をしている。


「えー、あれしなくても里美睫毛長いじゃーん。」

おにぎりを小さな口で頬張りながらそう言うのは千紗。

千紗は、里美と中学の頃からの親友みたいで特に里美と仲が良い。


「そうだよぉ。里美はスッピンでも十分可愛いんだからー。」
「うん。その美貌分けてくれーって感じだよ本当。」

彩菜と涼花は里美に強い憧れを抱いているみたいで、里美が持ってくる手作りのお弁当や、今日のパンのかじり方まで観察しながら女子力の高さを追求している。


そして、私はと言うと、

みんなの会話を聞きながら「あははは」とか「そうだね」とか、小声で相槌したりしながらついて行こうとそれだけで必死。

里美たちがしているような美容の話とか、定番の恋の話なんてのも私は苦手で、自分の事についてはあまり話せないから。



「いやー桃子くらい睫毛が長かったら本当に羨ましいって。」

話に加われないでいる私を見てか、里美はそう言って私に話を振ってくれる。

その時は嬉しいんだけど、またすぐして別の話題で盛り上がって行く。


私は大体聞いているだけ。


でも、それでいいと自分で思う。

  


里美たち四人がいれば。

私はそれで。












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