however close to you
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アフターグロウは創設されてから十数年が経つが、毎年八月の終わりに合宿をするというのは創設当初から変わっていないらしい。
夏休みももうじき一ヶ月が経とうとしていて、それはつまり、あたしが爽さんに会うのも約一ヶ月ぶりだということだ。
アフターグロウは決しておふざけサークルでもないが、熱血漢のサークルでもない。
大学のある間は精力的に活動し、休みの間は合宿を抜いてとことん休む、というのが方針だ。
サークルがなければ爽さんに会うことはない。
それは寂しくもある。と同時に、もしかしたら爽さんを忘れられるのでは、という儚い期待を持たせてもくれる。
「棗、海だぜ、海!」
バスから降りた爽さんが、あたしを振り返り、満面の笑みを浮かべる。