however close to you

* * *


合宿中の活動を部内戦に充てるようになったのも、創設当初かららしい。

宿泊している旅館から歩いて十五分足らずの場所にテニスコートを借りてあり、部内戦はそこで行われる。


バーベキューの後、一旦各々の部屋に戻って、それから部内戦が始まった。二時から事前に組まれていた試合が着々と進み、五時すぎに解散となった。



「しおー、ビーチバレーといったら水着だろーが!」


Tシャツ短パン姿に爽さんは膨れっ面をした。

まったく、こういうところは本当にお子様。しかし少し可愛くもある。


「えろおやじー」

「エロで結構!結構だから水着見せろっ」


じゃれあう二人を見ていたくなくて目線を外したら、空実と目が合った。

せつなそうな、不安そうな、なんともいえない眼差しを投げかけてくる。


空実は知っている、あたしの報われない想いを。


「ほらー、爽さん!くだらないことごちゃごちゃ言ってないで始めますよー!」

「夕食までには旅館に戻らないといけないんですからねっ」


どうにか、この感情を断ち切れないものか。
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