however close to you
「くそー、児玉が元バレー部だってわかってたらハンデなんてやんなかったのに」
結局あたしたちは三点差で負けた。爽さんがこう言うのも無理はない。
「でもルールはルールですよ?レモン味でお願いしまーす」
「あたしイチゴー」
仕方なく、しぶしぶ海の家までかき氷を買いに行く羽目になった。
海の家までは少し遠い。軽く五百メートルはある。
「ほら、早く行きますよ。じゃないと夕食の時間に間に合わなくなっちゃう」
「いーよ、もう、ちょっとくらい遅刻したって。無理、体力残ってない」
「オジサンー!」
「うるせー」
そうは言いつつも、実際あたしも予想外に疲れていた。
砂に足を取られて思い通りに動けないせいで、ビーチバレーは意外と体力を使うのだ。
「爽オジサンに合わせてのんびり行くとしますかっ」
実際は、少し、ほんの少し、ラッキーだと思ってしまった。
まさか合宿中にふたりきりになれるだなんて。
だっていつでも爽さんの横には汐莉さんがいるから、こんなチャンス来ないと思っていた。