however close to you
夕日が徐々に赤みを増していく。陽射しの色や射す角度が、一日の終りを告げる。
海の向こうに沈む太陽は、なんて綺麗なのだろう。
「棗さー、」
「なに?」
もそもそと、砂が足の裏に絡み付く感触を味わいながら、たっぷりとのんびり歩く。
「彼氏とかすきな奴とかいないの?」
「……え」
驚いた。一瞬耳を疑った。
そういえば、汐莉さんのことを除いて、爽さんと恋愛について話したことはほとんどない。
「…えっ、えっ、なんですか、急に」
「いやー…んー、そういや棗のそうゆう話聞いたことないなあと思って」
もしかしたら、爽さんは、あたしの気持ちに薄々気付いたのではないかと思っていた。
違ったのかな。…わかんない。
「…すきな人くらいいますよ、あたしにだって、そりゃあ、うん、まあ、ええ」
「なんだよそれ。発言おかしいぞ」
「爽さんがいきなり変なこと聞くからでしょーが!」
「…そうだな、変だな俺」