however close to you
川西爽路、通称爽さんは学年は一つ先輩だが、浪人しているので実質二つ上。
沖田総司にちなんで付けられたらしいその名前を持つ彼とは、仲が良い。と思う。
「棗、二限ないの」
「いやー、あるんですけど、もう遅刻だし、どうせ出席取らないし、まあいっかって」
「おまえもだんだん賢くなってきたな」
爽さんは悪戯っ子みたいな表情で、カルピスソーダの缶を煽った。
「元々爽さんより賢いけど」
「…今日も毒舌全開だな」
わざと演技めいた呆れた表情をつくっている。たれ目の目尻がより垂れたように感じるのは気のせいか。
「まー毒舌なのが棗だもんな。棗らしくていいと思うよ、うん」
午前十一時を回った食堂には、ちらほらと人が集まり始めた。
騒がしくなってくると、声が聞き取りづらくなるから嫌だ。