however close to you

川西爽路、通称爽さんは学年は一つ先輩だが、浪人しているので実質二つ上。

沖田総司にちなんで付けられたらしいその名前を持つ彼とは、仲が良い。と思う。



「棗、二限ないの」

「いやー、あるんですけど、もう遅刻だし、どうせ出席取らないし、まあいっかって」

「おまえもだんだん賢くなってきたな」


爽さんは悪戯っ子みたいな表情で、カルピスソーダの缶を煽った。


「元々爽さんより賢いけど」

「…今日も毒舌全開だな」


わざと演技めいた呆れた表情をつくっている。たれ目の目尻がより垂れたように感じるのは気のせいか。


「まー毒舌なのが棗だもんな。棗らしくていいと思うよ、うん」


午前十一時を回った食堂には、ちらほらと人が集まり始めた。

騒がしくなってくると、声が聞き取りづらくなるから嫌だ。
< 4 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop