however close to you
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そんな筈ないでしょう、なにかきっかけがあるに決まってる、決定打ってなんだったの。
みんなそう言う。
でも、本当にないのだ。きっかけも、決定打も。
抜き足、差し足、忍び足。そうやってじわじわと夏がやって来たみたいに、いや、それよりも遥かに自然に。
あたしが爽さんを好きなのは、そりゃもう生まれたときから決まっていたように、気がついたらそこにあった。
分かりやすい原因があれば、まだよかった。好きになりそうだ、と思った瞬間にセーブすればいい。
あたしはあたしを二十年近くもやってきたんだ、本気になれば好きになってはいけない人を好きにならないなんて、簡単なコントロール。
どっぷり嵌まってから気づいたんだもん、もうどうしようもない。
世界が夜のままになってしまうのと、あたしの想いが叶うこと、どちらがありえないのだろう。
だって、爽さんは言ったのだ。