彼女が笑えば、世界は色づく。




「それで、母さんが許してくれたんだ。森野さんのおかげだよ」



二人の間に風が吹き抜けた。


森野蒼の匂いが鼻を掠めた。
柔軟剤の香りだろうか。            



「余計なことを言ってごめん」



彼女は少しだけうつむいた。




「私は他人なのに偉そうなこと、言ったけん。お母さんに謝ってて」







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