三行ラブレター



「た、ただいま!」

「ふふ、ご飯出来てるから着替えてらっしゃいな」


「…は、(いや、違う、此処は普通に…)―うん!」


上手く笑えているであろうか。
ひきつってないだろうか?心配、かけてないだろうか。


勢いに任せて二階へと向かえば自室へと入り暗い部屋の中で、感情が高ぶっていた。




ただいま、は何度も言われた事がある。

働きづめだった父は私よりも帰りが遅い。
夜勤の日は1人でご飯を食べて1人で眠る。

それが当たり前だと思っていた。



でも、これからは違うんだ。

家の電気がついてる。
鍵を持たなくても良い。

いつも私の近くに誰かがいて、それは本当の家族じゃないけれど、でも、その人たちは、家族だ―




「…ふふ、ただいま、か」



ポツリと呟かれた私の言葉は秋風が窓を叩きつける音で掻き消えた。


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