三行ラブレター
「先生との関係は順調?」
「はい、何とか…。でも生徒には知られたくないです」
苦笑を零し鍵を受け取れば「噂は流れるの早いもんね」と
先生も苦笑を零した。
先生もその噂の被害者だった。
入学したての頃、江崎先生との交際が発覚し校内はそのうわさでもちきりだった。
陰で自分の事を話されるのは嬉しくもない。
その事を分かっている先生は「もし皆にいじめられたりしたら私に話してね!力になるから!」と言ってくれた。
日向のファンクラブの事を気にしてか、林先生の言葉が嬉しくて笑みを浮かべる。
「お疲れさまでした!来週の展示、頑張りましょう!」
「さよならー!」
「はい、また来週ね」
今週の部活は終了し、
次は部活動での出し物である展示の時に集まる事になっていた。
皆に別れを告げ、学校を出るとちょうど自転車で帰ろうとしていた綾瀬先生に出くわした。
「氷室も今帰り?」
「はい。先生の自転車姿って何かぴったり」
「どう言う意味だよ、それ」
むきになる綾瀬に笑みを浮かべれば「一応褒めてるつもりですよ」と一言漏らした。
一応って…とうなだれる綾瀬の隣を歩けば夕日が傾き始めていた。