三行ラブレター


「あ、すみません。日向先生の事ですよね」

「あ。ああ…」


我に返った私たちは再び並んで家路を歩いていた。


「学校と全く変わらないですよ。マシンガントークだし、容赦ないし」

「そんなもん?もうちょっと家族にしか見せない顔とかないのかよ」

「強いて言えば、学校よりも良く笑う、所ですかね」


不満げな綾瀬にポツリと呟けばカラスが鳴いた。


「今まで家では1人だったから寂しくないって言い聞かせてきたんですけど
一度幸せを味わっちゃうと何だか抜け出せそうにないなぁ、って思うんです」

「…」


黙ったまま私の話に耳を傾ける綾瀬を見やれば
突然立ち止りこほん、と咳払いをする。

何なのかと思いきや「別に」と話し始めた。



< 26 / 55 >

この作品をシェア

pagetop