三行ラブレター


別れを切り出したのも向こうからで、突然泣きながら「ごめん」と謝る。



『どうしたのさ、急に…』
『あたし、…っ―浮気、してる』
『…は?』


突きつけられた現実に成す術もなく怒りよりも先に
浮気をするほど寂しい想いをさせていた僕自身に後悔していた。


『で、別れたいって?』
『うん…もう貴方とは一緒にいられないの』

『…冗談じゃない。何で別れるのさ。別に良いじゃん、こうして話してくれたんだから。―ねえ、そうだろ?』


僕の顔を見て涙でゆがんだ瞳は伏せられた。
首を横に振りイエスの返事を出さない。


どうすればいいのか分からなくて、若かった僕は怒りを表すことでしか感情を出す事が出来なかった。



『あっそう。だったら別れてやるよ。好きにすればいいだろ!』



思い出も、あいつの顔も
何もかも、忘れた。


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