三行ラブレター
もう今の僕は昔とは違う。
感情に流されたりなんてしない。
そう、あの日あの時、誓ったのだから―
「何しに来たの?」
「…忘れられないの!」
「―――」
忘れられない、縁りを戻したい
そう縋りつく彼女は昔よりも弱くなっている気がした。
浮気相手と上手くいかなくなったのだろうか。
ふと、そんな事を想う。
「棗、あたしは貴方がいないと生きていけない…っ」
腰に手を回されそれでも冷静な僕がそこにいて。
「ここ家の前なんだけど。離れてくれない?」
「いや!付き合うって言ってくれるまで此処を離れない!」
「…―」
いや、弱いと言うのはおかしいか。
学校の女子生徒のような、普通の女になった気がした。
前のようなさばさばした感じはなく、きっと極当たり前な女の印象を受けた。
彼女に求めていたのは、そんな普通の女とは違ったような
僕の全てを受け止めてくれる、もので。
我儘だってことぐらい、傲慢だってことぐら
エゴだと言う事も全て、理解してる。
梃子でも離れない彼女に目を細めため息を零す。