三行ラブレター
「み、見るつもりなんてなかったの!ごめんなさい、甘い時間を邪魔しちゃって!」
「あ、おい!」
慌てて袋からこぼれおちた野菜を広い家の中に入って行く夏樹を止めるが
「誰?あの子」と声が聞こえそちらへ視線を向ける。
「親が再婚してその連れ子。もう関係ないだろ。
こんな事したって僕の気持ちは変わらない!帰れよ!」
「…っ」
見られた事に苛立ちを感じ、そして誓った筈なのに
感情を出してしまった。
怒鳴る僕に、涙を流しながら走り去る明美。
甘い誘惑も、捨てた記憶も
何もかも、もういらない。
僕が欲しいものは簡単に手に入らないような
そんなアイツの気持ち、だから―