三行ラブレター
守るべきもの
気づくのは僕だけで良い。
他の男に本当のアイツを見せたのが間違いだったのか―
「きょーだいの癖に王子気どりかよ」
「は?僕はただ坂田に大事な妹を渡すのが嫌なだけだよ」
「は、どうだかな。デートしてたくせに」
何、コイツ…。
イラッとしながらも無視を決め込むが日野が離れて行く事はなかった。
再び話し続ける日野に顔を上げる。
「力ずくでも奪ってやる」
「…―絶対渡さない」
睨みあう僕らに職員室に残っていた教師たちは首を傾げていた。
気づかなくて良い。
誰も知らなくて良い。
―いつからだろう、こんな気持ちを抱き始めたのは。
夕刻を告げるチャイムの音が頭に浸透していった。