三行ラブレター
豹変
きっと世の中上手く行く事なんて何もない。
そう思うと無性に悲しくなった。
「最悪…」
雨は好き。
でも今は嫌い。
傘も折りたたみも何もないから。
濡れて帰るしか術のない私は鞄で頭を庇いながら走って校舎を出た。
制服はベタベタで顔には雨が降り注ぐ。
水たまりがすぐに出来てしまうほど降りしきる雨に嫌気がさしていた時だった。
「氷室!?」
「…え?」
後ろから声が聞こえ振り返れば綾瀬が居た。
驚いた様子で近づいてくる綾瀬は紺色の傘をさしていた。
そして私の上にさせば「お前なぁ…」と呆れかえる声が聞こえた。
「傘、忘れちゃって」
「なら日向先生待ってれば良かっただろ?」
「あ、そっか!」
日向は車だったんだ。
私の言葉にはぁ、と盛大なため息を零すと「とりあえずうち来るか?」と首を傾げる。