三行ラブレター
「でも、私は雨好きです」
「何で?」
「私の汚いもの、全部洗い流してくれる気がするから」
「…」
日向への想いも、寂しい想いをした中学生時代の想いも。
全て、全てを。
負の感情ばかりある私は雨に打たれないと気が付けない。
いっそ気がつかなければどれだけ楽なんだろう。
醜い感情は捨てなくちゃいけないんだ。
「汚くなんてないだろ?」
「…―え?」
「氷室は、汚れてなんてないだろ」
この人は、私をいつも安心感で包んでくれる。
欲しい時に、欲しい言葉をくれて
びたびたな私を優しくそっと包んでくれる。
メガネに雫が落ちてそれを拭けば「え、」と声が聞こえた。
綾瀬を見ると驚いた顔をしていた。
おぼろげなその表情に首を傾げる。
確か日向も同じように驚いていた。