三行ラブレター
「どうかしました?」
「…いや、メガネとるとずいぶん変わるなぁと…」
「…顔紅いですけど大丈夫ですか?」
裸眼でも見えるほどの紅さに眉間に皺を寄せながら手のひらをおでこへとあてがう。
「だ、大丈夫だから!」
慌てて退ける綾瀬に苦笑を零し「なら良いですけど」と言うと
インターフォンが鳴り響いた。
それは日向で、ドアの前に居た義兄(あに)は怒ったように膨れていた。
どうして僕に言わなかったんだ、そんな言葉を受けながらも
綾瀬にお礼をいい荷物を持つ。
「先生、服また返しに来るから!」
「へ?あ、いや、別に学校でも」
「荷物になるし、お礼もちゃんとしたいし」
微笑めば「おう」と小さく呟く綾瀬を見て
隣には何処か不機嫌そうな日向が居て。
――私たちの歯車はまだ回り始めたばかり、だった。