三行ラブレター


「ぶふっ―」


鞄も何処か吹っ飛び起き上がろうとすれば周りが見えにくい事に気づく。

メガネもぶっとんだ。


探していると鞄とセットで渡してくれた心優しい人がいた。



「あ、ありがと…―え?」


鞄は返してくれるもメガネはひょい、と高々にやられてしまう。


えええ?!

驚いて顔をあげればそこには僅かに見えるタレた目と、怪しく曲がる唇が見えた。
整った顔立ちは格好良い部類で間違いなく例のあの人。

私が関わり合いになりたくないベスト1だ。


「坂田、せんせ?」
「よぉ、その顔では二度目だな、夏樹チャン」

「…こんにちはー」


あは、と奇妙な笑いを立てスマイルな坂田へ視線を向けた。

あの、返してくれますか?と問えば返ってきたのは満面の坂田スマイルとそれに不釣り合いな「嫌だね」と言う意地の悪い声だった。


「私近視結構進んでて何も見えないんですよね」

「んなの知るか。学校の前でずっこけるお前がわりぃ」

「それこそ私の勝手でしょう?!」


ここはアンタの敷地か!
そう心の中でツッコめば愛想笑いを浮かべてもう一度せがんでみた。

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