三行ラブレター


「夏樹ーおはよー」

「おはよう、ちいちゃん」


教室に着くとクラスの中で一番仲のいい千鶴が既に椅子に腰かけていた。

一度席替えをしているお陰で、奇跡的にも千鶴と前後の席になり、
私たちは益々仲を深めたのだ。

まるで幼馴染のような気分に陥る時があるほど
千鶴とは仲が良く入学して数カ月しか経っていないのに何度かお互いの家を行き来している。



彼女は頬杖をつきながら「昨日どうだったの?」と、笑顔を浮かべて小首を傾げた。
可愛らしいことこの上ない。


嗚呼、そうだ。昨日…。

忘れたくても忘れられない出来事が起こったんだった。
出来ることなら忘れてしまいたい。

現実逃避したい。あの顔を二度と見たくない。


―だがそうは問屋が卸さないようだ。


斜め上を見上げながら昨日の事を思いだしている私に眉をしかめて「夏樹?」と口を開いたちぃちゃん。


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