三行ラブレター
ここ1カ月程だろうか、父の帰りが遅かった。
夕飯も2,3日に一度は外食して帰ってきた。
家で食べる時でさえ、帰りは8時を回ってからの帰宅。
例年、今の時期は忙しくない筈なのに。
何より、今まで見たことがない程
顔が生き生きとしていた。
「それってつまり…?」
「私とあの人が、兄妹(きょうだい)になるっていうことですね」
冷静にまるで人ごとのように言ってみたが少しだけ語尾が上ずったのが自分でも分かった。
気の毒そうな表情を見せたちぃ。
同情するならこの現実を「夢落ち」にしてほしい。
「でもものは考えようでしょう!先生がお兄ちゃんだったら宿題とか手伝ってくれるかもよ?」
「それ本気で言ってる?」
ジッと見つめてみるとちぃは視線を逸らしあはは、と笑って誤魔化した。
「手伝ってはくれるだろうけど、きっと怖いよ。
分からない所何度も聞いたら怒られちゃうよ」
「ああ、そうか。アンタおバカさんだもんね」
「…ちぃちゃん相変わらずの辛口ありがとう!」
泣いちゃうよ、私泣いちゃう。
がっくりと肩を落とすが誰も助けてくれない。