馬渕くん、馬渕くん。
...いや、ううん。
美綺が面白がるのは目に見えてたよ。
美綺らしいって言えば、美綺らしいよね。
「はあ〜」
なんだか安堵のため息しか出てこない。
私も、美綺と一緒に笑い話にしちゃおうかな。
そしたらさっきの恥ずかしいことなんて忘れられるよね。
「...あれ?
馬渕くんじゃない?」
しばらく笑い転げる美綺を放っておいたら、突然そんなことを言い出した。
一瞬にして私は美綺の視線を追う。
わ、わわわ.....。
美綺の視線の先には、馬渕くんがいた。
黒髪で、背が高くて、、、
制服をほどほどに着崩してる感じがもう.....イイよね。
前から歩いてくる馬渕くんはキラキラ輝いてて、王子様みたい。
私の心をぎゅっと鷲掴みにする。
ああ...こんなにも馬渕くんにドキドキするのに、私はなんてことを.....。
あと何秒か後に馬渕くんとすれ違う。
うう...ドキドキしすぎて心臓持たないっ....。
瞬間、フワッと香る馬渕くんの匂い。
この付けすぎない香水の香りも、スキ。
...なんかもう、ストーカー並になってる気がするけど気にしない、気にしない。