馬渕くん、馬渕くん。
▷彼氏ができました
「アハハハハ!!」
昼休みの廊下は、生徒たちがおしゃべりしてて、楽しそう。
あんなことしなかったら...みんなと同じように笑って過ごせる時間になっただろうに。
今は...とてもじゃないけど、無理。
気分なんて上がらない。
上がるわけがない!!
さっきのことを思い出して、身震いした。
「キミ.....名前は?」
あのまま彼にそう聞かれ、答えにつまってしまった。
.....あなたこそ誰ですか?!?
私の心の中はそんなプチパニックに陥っていたのですから。
「おい、ゆーわ。
知らねーのか?
1年の福士(フクシ)だよ」
不意に聞こえた声の方に目をやると。
........!!
あの、チャラ男が私を見つめていた。
「.....フクシ?」
妙に色っぽい声で苗字を呼ばれ、少しびくりとした。
「下の名前は〜?」
首を傾げて尋ねてくるゆーわと思われる人物。
「...みつきです」
そんな私の言葉を聞いて、満足気に笑った。
「よろしく、福士みつきちゃん」
フルネームで呼ばれ、なんだかおかしな感覚だったのを覚えている。