その1%に ..
「ねえ、さっきから気になってたんだけど」

いつの間にか沈黙していた空気を切り裂いたのは先輩で。

「足首。ケガしてるよね?」

返事を聞かずに話を続けた先輩の言葉に
動揺している自分が先輩の目に映る。

「…え、なん、で」

やっと返事出来たと思っても上手く言葉にならなくて
行き場の無い手は無意識に足に伸びる。

「ほら、今も。足撫でてるでしょ?さっきのシュート打ってた時も庇ってる様に見えたし」

ああ、この人

「さっき自主練しようとここに来る時に見かけたんだけど少し歩き方おかしかったからその所為かな、って思ってたんだけど。」

よく見てるなぁ。

部員もかなり多くてもちろんそこから試合に出れる選手を選ぶわけで。
1人1人の長所短所で上手く埋め合わせられるように考えて。
いつも出場選手を決めるのは早川先輩だから
大変そうだけどあんなベストメンバーを
選べるってどれだけ1日の練習で他の人を見てるんだろう。

なんて考えてて返事もせずにいる私に
"あれ、違うかな?"と私の顔を覗く。

真っ黒なその瞳には私しか映っていなくて。

多分だけど..いや、絶対。
早川先輩の周りにいる女子もこれで落ちてるのかな〜とか思ったり。
先輩の目を見たまま逸らせずにいると目の前にいる彼はクスリと笑って。

「ごめんね、思い出させちゃったかな」

困ったように眉を下げてから私の髪を撫でた。
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