レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「……お嬢様。つまり、先週の礼拝は欠席なさった……と」

「あう」

 エリザベスは奇妙な声をあげた。

「さぼった……、というか、ちょっと気が進まなかったのよね……」
「気が進まなかった……ですませないでください」

 露骨に視線をそらして天井を見上げるエリザベスに、パーカーは、大きくため息をついた。マクマリー家の当主が、日曜日の礼拝をさぼるだなんて大問題だ。

「それにしても……」

 エリザベスは、パーカーの気持ちも知らず爆弾を追加した。

「聖骨なら、うちにもあるのに。うちにも来るのかしら、聖骨泥棒」

「聖骨が、ですか……初耳ですね」

「ラティーマ大陸から持って帰ってきたのよ。お父様が蚤の市で買ったの。ごちそうさまでした。今日もおいしかったわ。じゃあ、わたしは仕事部屋に先に行っているわね」

 エリザベスは朝から旺盛な食欲でテーブルの上に並べられた料理をすべて片付けると、しなやかな動作で立ち上がった。

 彼女の動きにつれて、くるぶしまであるワンピースの裾が軽やかに揺れる。新聞を片手に出ていく主を見送って、パーカーは頭をさげた。
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