レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
幕が上がるまでの時間に軽食を摘み、飲み物を楽しむ。
「そうだ、リズ――」
リチャードはエリザベスに招待状を手渡した。
「今度うちでパーティーするんだ。よかったら、おいで。友達を連れてきてくれてもかまわないし」
「どんなパーティーなの?」
招待状は美しいカードだった。周囲をぐるりと細かな模様が囲んでいる。そこにエリザベスは目を落とした。
「僕の論文が、学会雑誌に掲載されるんだ。そのお祝い――というのは口実」
エリザベスの耳元に口をよせて彼は続ける。
「皆が友達を連れてくるから、出会いの場の提供でもあるわけ。僕も何人か呼んでいるよ」
「……女性のお友達?」
エリザベスは片方の眉をつり上げて見せた。
「まさか」
「本当かしら?」
半ば演技でエリザベスは視線をそらす。彼の目に、少し焼きもちを焼いているように見えればいい。
「ほら、二人ともそろそろ幕が上がるわよ。静かになさい」
シャンパングラス片手に、レディ・メアリは二人に注意する。
「わかってますわ、叔母様」
落ちついた口調でエリザベスは言うと、ゆったりと座り直したのだった。
「そうだ、リズ――」
リチャードはエリザベスに招待状を手渡した。
「今度うちでパーティーするんだ。よかったら、おいで。友達を連れてきてくれてもかまわないし」
「どんなパーティーなの?」
招待状は美しいカードだった。周囲をぐるりと細かな模様が囲んでいる。そこにエリザベスは目を落とした。
「僕の論文が、学会雑誌に掲載されるんだ。そのお祝い――というのは口実」
エリザベスの耳元に口をよせて彼は続ける。
「皆が友達を連れてくるから、出会いの場の提供でもあるわけ。僕も何人か呼んでいるよ」
「……女性のお友達?」
エリザベスは片方の眉をつり上げて見せた。
「まさか」
「本当かしら?」
半ば演技でエリザベスは視線をそらす。彼の目に、少し焼きもちを焼いているように見えればいい。
「ほら、二人ともそろそろ幕が上がるわよ。静かになさい」
シャンパングラス片手に、レディ・メアリは二人に注意する。
「わかってますわ、叔母様」
落ちついた口調でエリザベスは言うと、ゆったりと座り直したのだった。