レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
叔母のことは嫌いではないが、会うたびに縁談を持ち込まれるのは非常に困る。エリザベスはお腹を押さえて言ってみた。
「……おなか……痛い……ナー……」
「わかりやすい仮病はおやめください」
特に演技派というわけでもないから、エリザベスの演技はばればれだ。ぴしゃりと言われて、今度は頬を膨らませる。
「叔母様は嫌いじゃないのよ? 嫌いじゃないの。でも……お見合いだの結婚だのって話はいやなの!」
「にこにこ笑って一時間座っていればいいんです。そのくらい我慢なさってください」
パーカーはエリザベスを突き放すと、何事もなかったかのように次の作業に取りかかった。
◆ ◆ ◆
午後、エリザベスは青いデイドレスに着替えて叔母を出迎えた。
「その色、似合うわね」
レディ・メアリは四十代の小柄な女性だ。背筋はぴしりとのびて、姿勢がいい。子供がいないからか、実年齢よりもだいぶ若く見える。
「ありがとうございます。叔母様」
「……おなか……痛い……ナー……」
「わかりやすい仮病はおやめください」
特に演技派というわけでもないから、エリザベスの演技はばればれだ。ぴしゃりと言われて、今度は頬を膨らませる。
「叔母様は嫌いじゃないのよ? 嫌いじゃないの。でも……お見合いだの結婚だのって話はいやなの!」
「にこにこ笑って一時間座っていればいいんです。そのくらい我慢なさってください」
パーカーはエリザベスを突き放すと、何事もなかったかのように次の作業に取りかかった。
◆ ◆ ◆
午後、エリザベスは青いデイドレスに着替えて叔母を出迎えた。
「その色、似合うわね」
レディ・メアリは四十代の小柄な女性だ。背筋はぴしりとのびて、姿勢がいい。子供がいないからか、実年齢よりもだいぶ若く見える。
「ありがとうございます。叔母様」