レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
明かされる秘密
驚愕するエリザベスに対し、ダスティは口元をゆがませた。
「できるよ。聖骨があればね」
彼の声音には、何も知らないエリザベスを哀れむ響きが混ざっているように感じられた。いたたまれなくなったのを誤魔化すように、エリザベスの声が鋭くなる。
「聖骨なんてただの骨じゃないの! 聖人だろうがなんだろうが、骨は骨でしょう?」
「違う――聖骨なんて言われてるけど、あれは骨じゃないんだ。あれは骨じゃなくて――『賢者の石』だ」
「『賢者の石?』」
初めて耳にする言葉に、エリザベスは目を瞬かせた。賢者の石――骨だろうが石だろうが、大差はないような気がする。
「そう、賢者の石。錬金術には欠かせない鉱物だよ――正確には鉱物ではないんだけどね。鉛を金に変化させるのに必要な触媒さ」
「それって……実在するの?」
エリザベスはつぶやいた。なんだか、とんでもないことを聞いてしまったような気がしてならない。まさか、自分がこんなオカルトじみた世界に足を突っ込むことになるとは思ってもいなかった。
せいぜい、若い貴族達の道楽だと思っていた――楽園騎士団の件にしても、今まで命を奪うような真似まではしていなかった。
大陸にいた頃、周囲には迷信深い人達もずいぶんいたけれど、エリザベス自身はさほど気にかけていなかった。まさか、こちらに戻ってきてから、こんなことに遭遇するなんて。
「できるよ。聖骨があればね」
彼の声音には、何も知らないエリザベスを哀れむ響きが混ざっているように感じられた。いたたまれなくなったのを誤魔化すように、エリザベスの声が鋭くなる。
「聖骨なんてただの骨じゃないの! 聖人だろうがなんだろうが、骨は骨でしょう?」
「違う――聖骨なんて言われてるけど、あれは骨じゃないんだ。あれは骨じゃなくて――『賢者の石』だ」
「『賢者の石?』」
初めて耳にする言葉に、エリザベスは目を瞬かせた。賢者の石――骨だろうが石だろうが、大差はないような気がする。
「そう、賢者の石。錬金術には欠かせない鉱物だよ――正確には鉱物ではないんだけどね。鉛を金に変化させるのに必要な触媒さ」
「それって……実在するの?」
エリザベスはつぶやいた。なんだか、とんでもないことを聞いてしまったような気がしてならない。まさか、自分がこんなオカルトじみた世界に足を突っ込むことになるとは思ってもいなかった。
せいぜい、若い貴族達の道楽だと思っていた――楽園騎士団の件にしても、今まで命を奪うような真似まではしていなかった。
大陸にいた頃、周囲には迷信深い人達もずいぶんいたけれど、エリザベス自身はさほど気にかけていなかった。まさか、こちらに戻ってきてから、こんなことに遭遇するなんて。