レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
このままでは終わらない
大急ぎで仕事をこなす。仕事をしている間だけは、何も考えずにいられるから。夕食の時間になっても、仕事部屋の外に出る気にはなれなかった。
普段なら、パーカーとマギーにも側にいてもらって仕事をするのだが、今日は二人とも追い払ってしまって部屋に閉じこもっていると、部屋の扉が叩かれた。
「お嬢様、お夕食の時間になりました」
「……いらない」
今日、何を口にしたのか、まったく覚えていない。けれど、頭がいっぱいで、何を出さ
れても入っていく気がしないのだ。
鍵をかけてしまっているから、パーカーは中に入ってくることはできない。扉をぶち破れば別だろうが、今の彼にそこまでする意味はなかった。
「お体にさわります。昼食も召し上がってないではないですか」
「欲しくないんだもの」
扉に額を押しつけて、エリザベスはため息をついた。自分が悪いことくらいわかっている。だが、心の整理がつかなくて、どうしたらいいのか、まだ答えが見えてこないのだ。
「では、扉の前に軽食をお持ちします。それでよろしいですか?」
「いらないって言ってるのに」
そういうわけにはいきません、と静かな声が聞こえたような気がした。だが、それ以上はパーカーも言う気になれなかったようだ。パーカーの足音が遠ざかっていく。
足音が階段を下りていくのを扉越しに確認して、エリザベスは扉にもたれるようにして座り込んだ。
「……悪いとは、思ってるのよ」
ぽつりとつぶやく。今回の一件はエリザベスのワガママだ。
普段なら、パーカーとマギーにも側にいてもらって仕事をするのだが、今日は二人とも追い払ってしまって部屋に閉じこもっていると、部屋の扉が叩かれた。
「お嬢様、お夕食の時間になりました」
「……いらない」
今日、何を口にしたのか、まったく覚えていない。けれど、頭がいっぱいで、何を出さ
れても入っていく気がしないのだ。
鍵をかけてしまっているから、パーカーは中に入ってくることはできない。扉をぶち破れば別だろうが、今の彼にそこまでする意味はなかった。
「お体にさわります。昼食も召し上がってないではないですか」
「欲しくないんだもの」
扉に額を押しつけて、エリザベスはため息をついた。自分が悪いことくらいわかっている。だが、心の整理がつかなくて、どうしたらいいのか、まだ答えが見えてこないのだ。
「では、扉の前に軽食をお持ちします。それでよろしいですか?」
「いらないって言ってるのに」
そういうわけにはいきません、と静かな声が聞こえたような気がした。だが、それ以上はパーカーも言う気になれなかったようだ。パーカーの足音が遠ざかっていく。
足音が階段を下りていくのを扉越しに確認して、エリザベスは扉にもたれるようにして座り込んだ。
「……悪いとは、思ってるのよ」
ぽつりとつぶやく。今回の一件はエリザベスのワガママだ。