レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「理解できるかはわからないけれど、興味はあるわ。きっと難しいことが書いてあるのでしょうね。二十一日が無理なら、翌日はどう? 中央公園の中にできたカフェがいい感じなの」
「その日は大丈夫。そうだ——リズ」

 ためらいがちにリチャードは切り出した。

「この間の商売の件だけど——忘れてもらってもいいかな? 実は、大学で教えることになりそうなんだ。もちろん、それほど高給とは言えないけど——研究を続ける費用も出してもらえるそうだから」
「あら、よかったじゃない」

 一息にそう言った彼は素直なエリザベスの祝福に、受話器の向こう側で照れくさそうに笑った。

「僕を紹介してくれたのはオルランド公爵なんだ。この間のパーティに来てて、それで僕に興味を持ってくれたらしい」
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