レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
 寝ぼけていたエリザベスはそんなことなんてすっかり忘れ去っていたのだが、翌朝は最悪だった。

「お嬢さん、リズお嬢さん!」

 メイドのマギーが大慌てで部屋に入ってきて、エリザベスを乱暴に揺さぶる。本来なら手にしているべきモーニングティーのトレイはどこにもない。

「何よぅ……そんなことより、お茶持ってきて」

 状況を理解できないままマギーを押しやって、頭から羽根布団を被る。

まだ眠いのだから邪魔をしないでほしいと、なおも揺さぶってくるマギーを押しのけようとしていると、今度はパーカーまで飛び込んできた。

「……賊が入りました。お嬢様」
「賊?」

 その言葉に、エリザベスの目はぱちりと開いたり――はしなかった。ベッドに座ったまではよかったが、そこから先が続かない。

「うー…」

 唸りながら、眠い目をこすり、何とか床に降り立った。ここまでたどり着いたところで、話ができる状態になったとパーカーは判断したらしい。
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