レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「屋根裏の窓が割られました。もうすぐ警察が来ますから、お召し替えをお願いします」
「屋根裏……警察……」

 警察に会うのにはどんな服装が適しているのだろう。

 パーカーにクローゼットへと押しやられたマギーを横目で確認すれば、心得顔でコーヒーブラウンのワンピースを取り出しているところだった。
 エリザベスは、膝下までのワンピースに絹のストッキングを合わせ、髪を結って朝食の席に着く。

 パーカーに案内された警官が食堂の扉をノックした時には、落ち着き払って優雅に朝食をとっているところだった。
 
「私、何も聞いておりませんの。使用人達にご確認いただけます?」
 
 にっこり笑ったエリザベスはようやく目が覚めたところだ。いつもの通り、朝食の席にはたくさんの料理が並べられている。

 いつもと違うのは、給仕をしているのがパーカーではなく、マギーだというところだった。

 ゴシップ紙を読みたいところだが、警察の前でそれはよろしくないだろうと判断したのが正解かどうかわからない。
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