レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
 マクマリー邸を訪問してきたのは、ヘザー警部と名乗る中年の男と、部下のトロイ刑事だった。
 
 にっこりとエリザベスに微笑みかけられて、若いトロイ刑事は若干頬を染めていたりする。

「警察の方にもお茶を……コーヒーの方がいいかしら?」
「いえ、おかまいなく。すぐに仕事にかからねばなりませんので」

 とりあえず、愛想よくしておいた方がいいのかと飲み物をすすめてみたのだが、それは断られてしまった。

「使用人達に話を聞く、とのことでしたわね? 私もご一緒してもかまいません? 先ほども申し上げましたけれども、何も聞いていない状態で……ご一緒させていただければ、と思いますの」

 結局、警官二人は紅茶でエリザベスの朝食が終わるまで付き合わされることになってしまった。もちろん、エリザベスは残りの朝食を大急ぎで片づけ、優雅な仕草で口元を拭くとワンピースの裾を揺らして立ち上がる。

「図書室には大きなテーブルがあったわね? そこにしましょう」

 と、パーカーに警官達を案内させた。
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