レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「はあ?」

 ソファに寄りかかって話を聞いていたエリザベスは飛び上がってしまう。

「何でトランクなんか取りに行くのよ?」
「……」

 話に口をつっこむなとヘザー警部は横目でエリザベスを眺めた。パーカーは胃のあたりを手で押さえながら、エリザベスに向かって手をあげる。

「お嬢様、警察の方のお話が終わるまで少々お待ちください」

 不承不承、エリザベスはソファに寄りかかり、尋問が再開される。

「話を続けてもらおうか?」
「トランクを取りに行って、それで窓が割れてたから……パーカーさんを呼びに行って」
「私が呼ばれたのは朝の仕事をしていた時でした。屋根裏にあがってみますと、窓ガラスが割れておりまして……」

 パーカーが後を引き取った。そこへまたエリザベスが割り込む。
 
「私に言う前に警察呼んじゃうんだから」

 むくれたエリザベスは勢いよくソファから立ち上がると、警部の方へと歩み寄った。

「先に屋根裏部屋を確認するというのはいかが?」

 テーブルに手をついて、にこりとして見せる。しばし考えた警部は、エリザベスの提案を受け入れたのだった。
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